観てきました、ガンジスに還る。
( ※少しだけネタバレ要素を含みますので、それでもよろしければお進み下さい。)
結論から言うと、
「なかなか良かった。」です。
特に、劇中に流れるBGMが良い!
ゆったりとしたインド古典音楽は、とても耳触りが良く、心地よかったです。
映画の舞台は、バラナシにあるガンジス河のガート。
どこか異様で、それでいて美しい独特なインドの風景。そこに暮らす人々の描写とそのBGMが、ノスタルジックで、穏やかな時間の経過を感じさせてくれます。
観ていて静かで、贅沢な気分にさせてくれる作品でした。
厳格で頑固者のお父さん(写真:真ん中)と、仕事の電話が鳴りっぱなしで携帯が手放せない息子(写真:左)との確執が描かれています。
物語は、自分の死期を悟ったお父さんが、
「死を迎える準備は出来た。バラナシへ行く」
と言い出すところから始まります。
息子は、職場の上司に「バラナシまで行かなくても解脱は出来るんじゃないのか?なぜ行くんだ?」と嫌味を言われながらも、ホントに死ぬのか疑わしい父親を連れて、バラナシまで行くことになります。
そしてこの2人が下宿する建物の名前が、映画の原題にもなっている
『ムクティ・バワン (解脱の家) 』
良い名前です(笑)
邦題は『ガンジスに還る』なんですけど、邦題のセンスってなんかいつも変だな〜と思っちゃうんですよね。そのままで良いのに。。
ちなみに英題は『HOTEL SALVATION (=救済・救い)』まだこっちの方が分かる。
多くの日本人を相手に「解脱」とか「救済」という単語を使ってしまうと、「あやしい」「取っつきにくい」と思われるからでしょうか。。汗
この映画は、取り扱うテーマが『死』なので、暗い作品なのかと思いきや、作品の所々にインドに行ったことがある人なら分かる「あるあるネタ」がチラホラあって、思わずクスッと笑えるのも見所です。
⬆︎『解脱の家』に到着してもケンカが絶えない2人。息子の電話も鳴り止みません。
しかし、それぞれが『人の死』と向き合うなかで、少しずつ関係性が変化していきます。
登場人物は少ないのですが、その分、全員が大事な役割を果たしていて、99分は短いかなと思っていましたが、それ以上の時間に感じられる内容の濃さでした。
「死の前に多少の功徳を積むだけで、
一生分の罪を返せますか?」
という言葉が、作品の中でサラッと出てきたのですが、僕にとっては凄く印象的な言葉でした。笑
『死』についてはヨガの哲学の中でも、いろんな諸説がありますが、ヨガの聖典『ヨーガ・スートラ』では、
「死期が近づくと、耳をふさいだ時、自分の体内の音が聴こえなくなる。」
らしいです。
いま、耳ふさぎました?笑笑
さて、この家族がどうなっていくのか、本当にお父さんに死が訪れるのか、真相は『ガンジスに還る』の中で。
という僕の映画レビュー。笑